第11回 映画部記録(2021/7/9実施)
『SNS -少女たちの10日間-』(2020年・チェコ)
公式サイト:http://www.hark3.com/sns-10days/
監督:バーラ・ハルポヴァー
ヴィート・クルサーク
概要:
巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋で、幼い顔立ちをした3名の女優(18歳以上)は偽のSNSアカウントで12歳のふりをするという任務を与えられた。
各々の部屋のPCで、連絡をしてきたすべての年齢の男性とコミュニケーションを取る。当初のプロジェクトと同様、大多数の成人男性は性的な要求をし、なかには恐喝する者もあらわれる。
精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家の万全なバックアップやアフターケアを用意しながら撮影を続けること10日間。児童への性的搾取者が徐々に尻尾を出し始める……。
現代の子どもたちが直面する危険をありのまま映し出した恐るべきリアリティーショーは、SNSと常に接するジェネレーションZ世代やその親たちに恐怖と共に迎えられ、本国チェコでドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録。児童への性的搾取の実態を描いた映像として、チェコ警察から刑事手続きのための映像が要求された。
実際の犯罪の証拠として警察を動かした大問題作である。(公式サイトより引用)
予告:
参加者
小林、K.Y、加藤
小林
映画を見終わった後、気まずくなる度:★★★★★
男たちのモザイク顔が夢に出てくる度:★★★★★
もう一度見たい度:★☆☆☆☆
気持ち悪いのその先へ
この映画には気持ち悪い男がたくさん出てくる。
SNSで知り合った12歳の少女(という設定の女優)に対して卑猥な言葉や画像を投げたり、卑猥な行為を見せつけてくる。
もはや気持ち悪い男の動物園だし、そんな男たちが次から次へと出てくる。
撮影に関わった弁護士はそういう男を取り締まらないプラットフォーマーを問題視する。
映画が進むにつれて、スタッフの知り合いで子供キャンプ運営者の男が、SNS上では卑猥な行いを少女たちに行っていることを発見する。
最後はその男の自宅に押し掛けて悪事を追及するところで終わるー。
あぁ気持ち悪かったで終わる映画。
こんなことが現実に起きていた事実には驚かされるが……そこまでで終わる映画、いやこれは「ニュース」である。
なぜ監督は12歳の少女に群がる男たちにインタビューをしないのだろう?
なぜ子供キャンプの運営者はプライベートで少女と遊んでいるんだろう?子どもたちはいつも周りにいる。
なぜSNSを運営する会社に取材に行かないのか?
なぜ少女たちはSNSで中年男性と話すのか?
この問題の本質は何なのか?性欲なのか、浮かばれないストレスフルな社会なのか、テクノロジーの発展に伴う新たな恐怖なのか。
様々な展開が考えられるのに、この映画はとても表面的な「気持ち悪い男たち」の先には進んでいかない。
途中12歳の少女に対して性的な言葉を発しない、画像を送らない、ただ友達になりたいという男が出てくる。
スタッフや監督はこんな良い男性がいたなんてと涙を流しているが、お前らはバカなのか!と言いたくなる(笑)
卑猥な言葉や行為がなくても、言葉巧みな大人たちに騙された友人はいなかったのか? 自分で体験してこなかったのか?
すごく表面的な部分で映画は進行していく。
この映画を気持ち悪い男に見せたとしても、「僕はそこまでやっていない」で終わりである。
人は冷静には自分の行為を振り返れないし、自分だけは特別だと思っている。
この映画を気持ち悪い男たちに見せても、猥褻な行為は阻止できないし、この映画を見ても少女に猥褻な行為を行う男たちはいると思う。
多分この映画の賞味期限は短い。スカイプやfacebookを誰もが忘れてしまったときには、もはやこの映画を誰も見ない。
というか1回しか見ないけど(笑)
もしもっと踏み込んだ議論に映画が進んでいったら、この映画は100年生き残れたかもしれない。
気持ち悪いのその先に、気持ち悪い男たちの数を本当に減らせるきっかけが見つかるかもしれない。
大人たちはもっと深く考えないといけないし、子供たちにも深く考えて欲しい。
そんな深い映画を大人と子供もみんなで一緒に見なきゃいけない。
K.Y
不快度:★★★★★
おすすめ度:×
ドキュメンタリーだからとんでもなく不快。これ以上不快な映画は無いと思う。
児童の性的な虐待がテーマ。
12才の少女がSNSを顔出しでやったらどうなるかと言うドキュメンタリー映画(※実際は童顔の成人女性が12才に扮してSNSに登録)。
「変な人たちを見てみたい」程度の甘い考えでみてはいけない。
「変な人たちを見てみたい」とは、ある種の狂気をみてみたいという意味かと思うが...…この映画に出てくる人は、「ただただ不快な変態」だけ。
狂気は狂気だが、底が浅く、ただただ変態なだけ。そんな人たちが何人も何人も出てくる。
通話をしたら、「脱いで」だけ。会話もみんなワンパターン。ただただ不快でただただ変態。
児童の性的な虐待の実態を知りたいのでしたら、本を読むことをおすすめします。
この映画は真面目に検証しようとしている。しかし、世の中には変態が多すぎた。ただただ不快だった。
人間ってここまで、気持ち悪くなるんだなぁと、ただただ不快だった。
加藤
2度は観たくない度:★★★★★
覚悟をしてみたほうがいい度:★★★★★
総評:★★★★☆
久しぶりに映画を観て、“胃が重たく”なった。
グロ系の映画は何回か見れば感覚がマヒするから、大体どんな映画でも観れるようになるが、この手の映画は本当に耐性をつけることができない。
作り手が伝えたい“シンプルすぎる”メッセージ
この映画が何を伝えたいのか。
これはとても明快で、「ネット上で子どもに対して性的なメッセージを送っている輩がいる。これおかしいよな?」ということだけ。
1年に何回かは、日本でも未成年者に性的な写真を送るように言って……などといったニュースは耳にする。そのたびに、「またか、バカだなぁ。」と思うのは私だけじゃないだろう。
でも、こんなに軽く思えるのは完全に他人事だから言えることなのだと、この映画で自覚させられた。
どこまでがノンフィクションなのかはわからないが、それでも「ありえない」と思わなかったのは、この映画が映していた光景が非日常と言い切れないことを知っているから。
自分が経験をしていないことでも、「このくらいのことをする人は普通にいるだろう」という想像が容易にできる。
「どこまで本当なのかな?」
というのは、観終わった私たちの口から自然とこぼれた言葉だが、少なくとも私は“現実だとは信じたくない”気持ちが含まれていた気がする。
“大人の責任”はどこに?
この映画では、少女に対して性的な要求や写真を送り付ける大人の男性=オオカミの姿を、隠すことなく映している。
鑑賞をするとなれば、そのやりとりを私たちも強制的に見せられることになるが、これが本当に苦しかった。
性的な写真もそうだし、送られてきたメッセージも本当に酷いものばかりで、気持ち悪すぎて、見ながら胃のあたりがズキズキした。まさに、「性暴力」という言葉がぴったりだった。
何とは言わないが、誇張なしに一生分は見たと思う。
大人であってもこんなにヘビーなのに、子どもが、誰にも相談ができない・しづらい状況でこんなものを送り続けられたらどんな気持ちになるだろう。
この人たちは、どうして自分のことだけしか考えられないんだろう。
さまざまに湧いてくる感情のなかで特に強かったのは、「怒り」だ。
子ども時代の出来事は、そのあとの人生に大きく影響を及ぼすことは大人なら誰もがわかっているはず。それなのに、子どもなら自分のいうことを絶対に聞いてくれるからという理由で踏み荒らしていく様が本当に許せなかった。
そんなことをしているのに、子どもに関わる仕事をしている人もいて、これには呆然とした。
頭おかしいんじゃないの? 脳みそ入ってる?
言葉は悪いが、かける言葉がそれ以外に見つからない。
子どもは未来だから大切にしよう! なんて綺麗ごとを言う気はない。しかし、子どもが大人の悪意に傷つけられることは、あってはいけない。
なんでそんなことも分からないのだろう。
全員つかまって、一生出てこなければいいのに。
異常事態を浴び続ければ感覚はおかしくなる
おぞましい性的なやりとりがSNS上で繰り広げられている場面で、スタッフも女優もケラケラと笑っていたことが印象的だった。
たしかに、オオカミたちが起こすアクションは冷静な目で見れば面白い。50歳、70歳の男たちが12歳の少女に向かって「年の差なんて関係ある? 愛してるよ、裸見せて」などと言っている姿なんて、なかなか見れるものではない。
そう思えば、笑えることは確かなのだが、みんな感覚をおかしくしなければ見ていられないのかもなぁとも思った。
そんななか、一人だけオオカミとして扱われない青年が登場した。
この青年は現実世界として見ればまともなことを言っているが、彼も彼で12歳の少女にSNS上で接触していることは事実。異常である。
しかし、みんなが彼の言葉に涙を流して感動し、単純な私もつられて泣いてしまった。
異常な状態を目の当たりにし続けると、感覚はいとも簡単にバグってしまう。性的な要求をしないだけで、なんていい人なんだ! と感動してしまう。
でも、この感覚は完全に危ない。
「この人なら大丈夫かも。」
すんなりと受け入れてしまうその感覚こそ、実は一番疑わなければいけないものなのかもしれない。
とにかく、ショッキングな映像が続くから、気軽に「観てほしい! 」とは勧められない。でも、私の知っている地獄を見てほしい気持ちはあって、語りたいことも確か。
私は、この先この映画をもう一度観ることがあるのかは分からないけれど、この映画に叩きつけられた“弱者として生きる窮屈さ”は忘れられないと思う。
※2021/7公開。2022/7/10再編集。動画・画像はお借りしています。
第9回 映画部活動記録(2021/2/26実施)
『ゲット・アウト』(2017・米)
監督・脚本:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ
アリソン・ウィリアムズ
ブラッドリー・ウィットフォード
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
スティーヴン・ルート
ラキース・スタンフィールド
キャサリン・キーナー
参加者
小林、O.Y、K.Y、O.K、加藤
小林
もう少し度:★★★★★
以下ネタバレあり▼
人種の問題を感じさせるような硬派な作品サスペンスになるかと思いきや、実は突拍子もないホラー(SF?)でした。
脳味噌を入れ替える、操るなんてかなり突拍子もない作品です。笑
でもそこに黒人に憧れる白人や警察に怪しまれる黒人などの社会風刺を入れて新しい作品にしています。
すごく面白い作品だし、話題になった作品ですが、ちょっと浅い、スカッとした感じです。
主張がないというか、じゃあなんなんだよって感じ。笑
主張がある映画はじっと見終わった後も殴られた後のように頭を離れませんが、そこはなかったなって感じです。
そう考えるとジョージ・A・ロメロのゾンビが、ゾンビの姿やショッピングモールを通して消費社会を風刺したのはやっぱり凄い。
テーマじゃなくてゾンビっていう姿も含めて。
O.K
友達を大切にしたくなる度:★★★★★★★★★★★★
もう一度見たくなる度:★★★★★
総評:★★★★★
最近見た映画の中でも1、2を争うおもしろさでした!映画って結構な時間がとられるわりには当たりはずれが激しいと思うのですが、これは完全に当たりです!
意味がわかるとぞわっとする系なのであまり詳しくは言えません。でも幽霊は出てこないので私でも大丈夫でした。(某ダッシュシーンは夢に出てきそうですけど。怖すぎ。)
何かがおかしいけどわからない、不気味なシーンがずっと続くので、みんなで結末を考えながら見るのも楽しいと思います。
本当に、どれもネタバレになりそうで何も言えないのですが、「友達は大切にしたほうがいい」ってことだけは最後に伝えておきたいですね。映画を見た後何度も考えましたから……自分だったらどうしてたかなって。
加藤
総評:★★★★☆
公開当初から超話題になっていた本作。1度観ていたものの、映画部で再鑑賞!
最初観たときとの大きな違いは、やはりラストというか結末を知っているということもあるし、大人数で観ていたということもあって、ラストに感じたのは“後味の悪さ”よりも、コメディ感でした。怖い映画って、どこかで吹っ切れると笑えてきちゃいますよね。不思議。
しかし、脚本の作りこみやタイトルの意味も含め、ラストが見事だった。予算は多くないけど、脚本が作り込まれているし熱くなれる。
とてもいい後味の悪さでした。
※2021/3公開。2022/7/10再編集。動画はお借りしています。
第10回 映画部活動記録(2021/4/9実施)
『世界の果てまでヒャッハー!』(2015年・フランス)
監督:ニコラ・ブナム
フィリップ・ラショー
出演:フィリップ・ラショー
アリス・ダヴィ
ヴァンサン・ドゥサニア
タレク・ブダリ
ジュリアン・アルッティ
クリスチャン・クラヴィエ
シャルロット・ガブリ
予告:
参加者
小林、K.Y、O.K、加藤
小林
藤岡弘、探検隊度:★★★★★
総評:★★★★★
ヒャッハーの続編ですね。
今回は仕事で映画部の皆様と同じタイミングで見ることができず、とても悲しかったです。。。涙
しかし一人で見ても大爆笑の作品でした。
電車の中でスマホで見ながら笑い、深夜に家でも一人で見ながら笑ってました。
もう最近会社であった全てのことを忘れるような至福の時間。
「いやぁ、映画って本当にいいもんですね~」って水野晴郎先生を思い出しました。
伏線があるようでないのが良い。
ガイドは突然洞窟で落ちるし、笑
女の子が投げた缶?が当たって環境団体のおじさんは気絶するし、
ばあさんは案の定、川に流されていくし〜
何か起きそう……起きそう……起きそう……ではなくて、
起きた! 大変だ、もっと大きなことになっちゃった!ってスラップステックが広がっていく様が本当に面白い。
前回と同じ、POVのカメラを拾って、それをリビングで見るという繰り返しもファン向けに作られていて良いですね。
ババァが川に流されたり、吹っ飛ばされたりするような不謹慎なバカ映画を是非、今後も見たいと思います!
K.Y
ナマケモノ度:★★★☆☆
ばあちゃんの強さ:★★★★★
総評:★★★★★
ただただ、バカで何も考えちゃいけない。
前回よりは伏線が弱かったが、期待通りのバカさは健在だった。
何も考えず、「馬鹿だなぁ〜〜、あははは〜〜」って見てたので、深い考察や意見は何もないです。映画って、何かしらのメッセージ性があると思うのですが、それが一切感じられません。
押し付けるようなメッセージもなく、深く考えず、ただ笑えるって、凄いっす。
1点気になったのは、原題は「Babysitting 2」ですが、 「子守してないよな?」って今思ったくらいです。
O.K
この人と結婚していいのか迷ったときに一緒に見て欲しい度:★★★★★★★★
もう一度見たくなる度:★★★☆☆
総評:★★★★★
ついにヒャッハーの第2弾!主人公とその仲間たちが登場した瞬間、懐かしい友人に久しぶりに会ったかのような、なんともいえない感情に。
あいつら、今回もバカやってるなあ~って。そういう意味では、前作『真夜中のパリでヒャッハー』を見ていたほうがより楽しめますね。見てなくても全く問題ありませんが(笑)。
『ヒャッハー』に関しては前作のときも思ったのですが、一緒に見る人を選ぶ映画です。内容は本当に……くだらないので笑える映画ではありますが、だからこそ1人だと寂しいし、だれかと見たとしても、その人と同じテンションで笑えないと妙なもやもや感を味わうことになります。
よく、映画を恋人と見に行って意見が合わなくて別れる……みたいなのありますけど、『ヒャッハー』ってこれに当てはまりそうな気がします。
こんなくだらないことで一緒に笑えるかどうか、結構大事だと思いませんか?(映画部のみなさんどう思います?笑)
加藤
期待を裏切らない度:★★★★★
一生ついていくぞ! 度:★★★★★
総評:★★★★★
前作に引き続き、完全に私の趣味にお付き合いいただきました。
予告を観ていただくだけでもわかりますが、もうめちゃくちゃ下品です(ヒャッハーを超える下品映画は『ソーセージ・パーティ』くらいしか知らない)。
やっぱりヒャッハーって最高!
これ以上の言葉はいらないし、言いようがないです。フィーリングで理解してほしい!
作り手の映画愛はビンビン伝わってくるし、そんなのに触れたら「最高」以外の言葉なんかいらないんですよ。逆にあります? っていう感じです。
この映画は、観ているといつの間にか愛着がわいてしまって、それはまるで手のかかるわが子を見ている気分。どんな酷い展開でも、私の中に湧き出るのは“愛しいなぁ”という気持ちだけ。ヒャッハーなしの人生なんて考えられなくなってしまいます。
ツラいときに思い出すのは、「ヒャッハー」。ナマケモノを見かけて思い出すのも、「ヒャッハー」。マリオカートをすればヒャッハーに思いを馳せ、トランクケースに荷物をつめるたびにニヤニヤしちゃいます。
一度観たら、ヒャッハーの呪縛からは逃れられません。沼が深すぎるよ、「ヒャッハー」!
ギャップ萌え勢は気をつけて!
「女子はギャップ好き」という定説にもれず、私もギャップは大好物です。
想像してください。おちゃらけ男子が真面目な顔で部活に取り組んでいたらきゅんとしますよね? そういうことです。
改めてこのバカ映画を観て、この映画の魅力はそこなんだなぁとしみじみ思いました。どんなにバカをやっていても、愛しさやある種の尊敬を抱いてしまうのは根底にある作り手の映画愛や、彼らからの社会的なメッセージ(?)がにじみ出ているから。
不意に飛んでくる真剣な思いに、思わず心を奪われてしまうんです。
こんなにバカな映画なのに社会的な問題にも向き合ってるんだ……。
まさに「ふうん、お前おもしれーやつじゃん」状態です。とことんバカであるという事実は覆されませんが、こういうギャップには漏れなくトゥンクしちゃう! 本当にズルい男ですよ、フィリップ・ラショーは。
そろそろ気になりますよね? 1回騙されましょう!
会う人会う人に、ヒャッハー面白いよ? 絶対楽しいよ? とささやきまくって、早4年ほど。
フランス映画という最初のハードルが高すぎるのか、なかなか手を出してもらえず……長年自分のプレゼン能力の低さに自己嫌悪に陥っていました。
しかし、映画部という場所で強行突破をして、思った以上に楽しんでいただけて、ヒャッハーとフィリップ・ラショーという存在を知らしめることができて、今私は自分の人生において一つの大きな偉業を成し遂げたという達成感にあふれています。
こういう出会いがあるからB級あさりはやめられないし、駄作への愛も止まらない!
そして、私に映画はひたすらに楽しんでるだけでもいいんだということを教えてくれた作品でもあります。
気になってる方はぜひ騙されたと思って映画を再生してみてください。絶対に、後悔はしないはずです!
※2021/4公開。2022/7/2再編集。画像や動画はお借りしています。
第8回 映画部活動記録(2021/1/22実施)
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)
監督・脚本:押井守
出演:古川登志夫
平野文
鷲尾真知子
藤岡琢也
参加者
小林、O.Y、K.Y、K.M、T.K、O.K、加藤
小林
悪夢度:★★★★★
もう一度見たくなる度:★★★★★
総評:★★★★★
大学生の時に見てから何百回も見ている。
私は和光大学という学生自治区は24時間過ごせる大学で4年間過ごした。演劇サークルにいたので公演前になると1週間くらい徹夜したり、学校に泊まったりしていた。
学生の演劇サークルで起こることはSEX、SEX、SEX、逃亡、嫉妬、そしてバイオレンスみたいな滅茶苦茶な状況だった。
公演前は滅茶苦茶な人間関係を整理して回ったり、公演を成立するために雑用に回ったり、もうやれることはなんでもしていた。
そして公演当日。打ち上げ。
楽しい打ち上げや公演当日もあったはずだが、今でも覚えているのは公演前の滅茶苦茶な状況なのだ。
サークルだけど公演ごとにメンバーは変わるし、4年になったら卒業するし、舞台が終わったら全ては消えてしまう。
やっぱりお祭りの前が一番楽しかったんだろうな。これがビューティフルドリーマーなんだろうなぁ。
公演のメンバーであーだこーだやって、めちゃくちゃやっていた毎日が。
それとも今会社にいて、子供がいて、新しいサービスを進めている毎日が、実は大学生の私が見ている夢なんだろうか、だからこのサービスは……。
K.Y
ラブコメ度:★★☆☆☆
もう一度見たくなる度:★★★★☆
総評:★★★★☆
落ちを知ってしまえば、そうでもないかも知れないですが、
ラブコメと思っていたが、初見では下手なホラーより恐ろしい。
何がなんだかって感じです。
ラブコメを求めているなら、これではないと思いました。
専門家のT.Kさんの説明を聞くと、思いのほか深い作品だということがわかりました。
また、この作品の監督とは絶対仕事したくないと思いました。
T.K
また観たい度:★★★★★
押井守感(?) :★★★★☆
しのぶさんの可愛さ:★★★★★
ラムちゃんの可愛さ:★★★★★
総評:★★★★★
今回の作品はうる星やつらの劇場版として最も有名で賛否分かれる『ビューティフル・ドリーマー』です。
高橋留美子先生が「これ私の作品じゃなくて押井さんの作品ですよね(意訳)」とキレたという逸話がありますが、押井守作品好きにとってはハマるかと思います。
学園祭前日の友引高校でいつまでも終わらない準備にずっと明け暮れる。オチを言ってしまえばずっとラムちゃんの夢の中でどんちゃん騒ぎし続けているというお話です(ところで皆さん『うる星やつら』シリーズ観てないというのマジなんですかね? 中学の頃とか普通に話通じたもんですが……)。
時間の流れ方というか認識がボケる感じなんですかね。ただ同じ1日を繰り返すのではなく、時間が進んでいる感覚だけがボケている。
今回の映画部で改めて見てみて思ったのですが、『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンドレス・エイトと涼宮ハルヒの溜息は設定的にちょっと似ていますね。
時間を繰り返すのと、妙に都合よく設定された世界、最終的には夢として終わらせるとかとか……
とりあえず何度でも観てほしいシーンがあってですね、ハリヤーで飛んだ翌朝の朝食、あたるの家で大人数でワチャワチャと動いているシーンがあるんですよ。
ここ全員が全員バラッバラかつ繰り返しではない動きしているんですよね〜すごい気合の入った作画でニヤニヤしながら観ていました。
あと作中に何度も出てきますがしのぶさん可愛くないですか? ラムちゃんが可愛いのはそれはそう。そうなんだけど! なんかしのぶさんいいんですよ!
最後の最後、夢邪鬼のやつまだ学園に居るんですよね〜。そのせいで「え、夢から覚めたんだよな?」とラストちょっと不安にかられるあたりも好きです。
夜中に観始めてそのまま寝るとどこまで映画だったのかわかんなくなるのも良いですね!
うる星やつらファンというか、押井守ファンというか、メガネの長台詞のファン(?)の方は是非見てみてください〜
O.K
考えるな感じろ度(TENET?):★★★★★★★★★・・・・
映画部の良さが出ていた度:★★★★★
もう一度見たくなる度:★★★★☆
総評:★★★★☆
考えるな感じろ
「ループもの」の名作と言われているらしい本作。とはいえ「うる星やつら」の劇場版でしょ? と正直あまり期待せずに見始めたのですが、裏切られました。
明るい日常に少しずつ浸食してくる“異変”の描写が怖いし、想像以上に難解だし、たぶんいろんな作品のネタがちりばめられているんだろうな~と思いつつも、途中から頭の中は「考えるな感じろ……」状態(笑)。なんとも不思議で、不気味で、強烈に記憶に残る一本でした。
ちなみに、うる星やつらに詳しくなくても大丈夫ですが、1話だけは見ておいたほうがもっと楽しめるかも。
これこれ、映画部に求めていたもの!
恥ずかしながら今までこの作品自体を知らず、今回の映画部がなかったら見ていなかったと思います。新しい映画との出会いがあるのも映画部の醍醐味ですよね。
鑑賞後のT.Kさんの解説もありがたかったです。できれば副音声で話していただき、もう一度鑑賞したいですね!金曜ロードショーのTwitterも放映中に裏話とかリアルタイムでツイートしていますし、そういうのも楽しそうだなーと思いました。
加藤
そのへんのホラーより怖い度:★★★★★
何が何だか度:★★★★★
もう一度観たくなる度:★★★★☆
総評:★★★★☆
私にとって「うる星やつら」といえば、懐かしのアニメ特集やら、ランキングやらでしか見かけないアニメといったイメージ。
連載されていた年代もあるのかなぁとも思いましたが、80年代に連載されていた「ぼくの地球を守って」や「シティーハンター」は読んでいるので、私がただ触れる機会がなかったというだけみたいです。
とにかく、人生初の「うる星やつら」でした!
パッケージ詐欺甚だしい
今回は最寄りのTSUTAYAにDVDがあるとのことで、私は前日にレンタルをしておりました。
ノーラン作品ぽいとか色々と前情報は聞いていましたが、そうは言っても「うる星やつら」の劇場版なわけで。軽い気持ちで観れるのかなぁと思っていたんです。
パッケージ裏には「時空を超えたドタバタラブコメディ(ハート付き)」なんて書いてあったし。
なんたって、あの「うる星やつら」なわけだし、きっと想像通りのテンションの作品なんだろうなぁ……と。
まあ、そんな私の安心は大きく裏切られるわけですけど。
とはいっても、私がコメディじゃない! と思っているだけで、鑑賞中に小林さんは「笑えるからコメディ」と言っていたので、私の基準がおかしいのかもしれません。
繰り返される日常のなかで、少しずつ違和感に気がついていく感じ……じわじわと“当たり前”が侵食されている感覚って、そのへんのホラーより怖いですよね。
この映画が「うる星やつら」なのかは分からない
観終わって思ったのが、「そもそも、この映画って『うる星やつら』という枠で良いのか? 」ということ。ファンのなかで賛否がわかれるのは、とても理解できます。
作品自体のクオリティは高いですが、原作ありきの劇場版映画で原作のトーンとは異なった作品を出してくるのは、なんとなく違うのでは? という気もしてきます。
しかし、作品としてはとても楽しめたし、押井作品への興味も以前より高まりました。少しずつ手を出しやすい作品も教えてもらえたので、漁ってみようかなと思います。
作品に詳しい方がいると、解説もしてくれるし、次の道しるべも示してくれるし。とても楽しく発見の多い映画部でした!
※2021/1公開。2022/7/2再編集。画像はお借りしています。
第7回 映画部活動記録(2020/12/11実施)
『真夜中のパリでヒャッハー!』
監督・脚本:ニコラ・ブナム、フィリップ・ラショー(『ヒャッハー』シリーズ、『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』)
出演:フィリップ・ラショー
アリス・ダヴィ
ヴァンサン・ドゥサニア
タレク・ブダリ
ジュリアン・アルッティ
予告:
参加者
T.H、小林、K.Y、O.K、加藤
今回もレンタルスペースを借りての鑑賞会でした!
備え付けのゲームは使用自由とのことだったので、鑑賞後は一時ゲーム大会に。……ゲームを通して、皆さんの別の顔が垣間見えた映画部でした。
武井
友達の最低度:★★★★★
ハートフル度:★★★★☆
総評:★★★★★
漫画家になりたいという自分の夢を叶えるために、社長の息子の子守をさせられた主人公とその友達が織りなす、子守の1日を振り返る爆笑コメディですドンドンパフ♪
「Taxi」もそうでしたが、フランス映画ってこういう破天荒キャラがよく出てくるけど、いつもほんまか? と思います。もちろんこんな奴らいないと思いますけど、いくらなんでも……という表現が多すぎる。
裏を返せば、日本の予定調和の戦隊モノとか、時代劇の殺陣なんかもそう見えてるのかもしれませんね。コメディという意味ではドリフのたらい落としとかかな。
出てくる奴らが全員常識知らずだからこそできる、自分の常識という枠をのっけからぶっ壊してくれるその爽快感がとても気持ちいい。途中、倫理観も吹き飛ばされて大笑いできました。
これも、みんなと一緒にワイワイしながら、ちょこっとした感想も言い合いながら見られたのがとてもよかったですね。ひとりで笑いながら見るより、人と一緒が断然いい。
「映画部」としての活動の意義が、一番よく出た作品だったかなと思います。
小林
もう一度観たい度:★★★★★
バカ映画度:★★★★★
次も見たい監督度:★★★★★
総評:★★★★★
映画オタクが作ったアイデア盛り沢山映画
笑って、笑って、そして感動した楽しい映画である。
この映画の根っこのストーリーは昔からよくある「子どもを育てることになってしまった主人公の、子どもとの友情と成長譚」である(クレーマークレーマーとか赤ちゃん泥棒とか……)。
でもこの映画はそれを現代版にするだけじゃない。
POVで撮影された映像から、何が起こったかを推理するサスペンス要素。
主人公や子供視点ではなく、親目線のストーリーも同時に描がかれていて、群像劇の要素もある。
このアイデア盛り沢山の感じが、この映画の新しさにもつながっている。
そしてそれぞれの人物のストーリーや伏線がしっかり回収されていく様は、本当に天晴れである。
脚本や演出をしっかり練ったんだろうなと思う。
バカな映画こそ真面目に作らないと笑えない。
笑われるのと笑わせるのは違う。
POVのシーンも好き放題作っているようで綿密に演出されている。
大人たちが真剣におバカな映画を作るのを想像するのは楽しい。笑わせてくれてほっこりさせてくれてありがとうな良作である。
K.Y
伏線回収度:★★★★★
もう一度見たくなる度:★★★★★
総評:★★★★★
伏線のちらばめ方が凄かったです。
そして、推理小説のトリック説明のような見事な伏線回収をしていました。
狂った人間の凄さ、家族を奪われた怒りなど、内面も見事に表現していました。
最後には、犯罪者は逮捕され、納得の最後でした。
ただし、馬鹿でした。
大笑いしました。
いい映画でした。
O.K
精神安定剤になるよ度:★★★★★
もう一度見たくなる度:★★★★☆(ヒャッハーしたくないときは見なくていいのでマイナス1)
総評:★★★★★
フランス映画ってこんなに面白かったのか!
まさにヒャッハーなお話でした。どんな感想?って感じですが、見たらわかります。
とはいえ、タイトルからは想像できないほど映画の作りは結構細部まで練られていて、気軽に見れる内容だけどちゃんと見てないと面白さが半減しちゃうくらい伏線を回収しまくります。「あれだったのかー!!!」「お前だったのかー!!」と何回ツッコんだかわかりません(笑)。
正直、加藤さんがおすすめしてくれなかったら一生手に取ることはなかったでしょう……フランス映画の難解なイメージがガラリと変わった作品でした!
精神安定剤にもなります※個人の感想です
元気になりたいとき、お腹抱えて笑いたいとき、とりあえずヒャッハーしたいときに観てください。超個人的な感想ですが、笑いが止まらなかったことによる鑑賞後の疲労感で、その日は良く眠れました。安眠剤としての機能もあるのかもしれませんね(ありません)。
余裕のある方は、マリカーもセットで用意しておくことを強くおすすめします。こんなにバナナと亀を投げたい欲求にかられたことは今までの人生でありませんでした。絶対やりたくなります!
加藤
何も考えずに観たい度:★★★★★
騙されたと思って観てほしい度:★★★★☆
推し監督度:★★★★★
総評:★★★★★
タイトルに「ヒャッハー」とかいう訳の分からない単語が入っているせいで、「くだらないんだろうな」と思われてしまう映画ですが……騙されたと思って、ぜひ観ていただきたい映画ナンバーワンです!
でも、くだらないんでしょ?
ええ! とてもくだらないです! くだらないけど、笑いだしてしまったが最後、そこから笑いが止まることはありません。
予告のナレーションは林家ペー&パー(しかもただ笑っているだけ)で狂気満載。どう考えても、つまらない部類ですわー……と思っちゃうんですけど! それが正常なんですけど!! その常識を超えた先にパラダイスが待っています!!
ヒャッハーはヒャッハー以外の何物でもない
これは絶対ハズれ映画だな! と思ってレンタルしたのが、この映画との出会いです。人生にはわざとハズれを引きたいときがありますよね。サメ映画やゾンビ映画を選ぶときは、これは駄作の匂い!!! と嬉々として選ぶことも多々。
タイトルで損してるわな、と思いつつも、これ以外のタイトルってないよねという結果に行きつくのは、この映画を観た人たち共通の認識だと信じて疑いません。
テンションはそれ以上でもそれ以下でもないし、観終わった後の満足度もめちゃくちゃ高いです。
なんとなく笑いたいな~という日、なんとなく物足りないな~と思える日。そんなときに、パッと咲いて散ってくれるのが「ヒャッハー」。今日ってなんとなく良い日だったかもな! と錯覚させてくれるのがヒャッハーなのです。
語れるけど語れない
ここまで感想を書いてきて思ったのは、語りたいことがあるけれど全部語り切れないな! ということです。
ストーリーに触れただけで、なんとなくネタバレになってしまう気がするし、このネタが面白くて! もネタバレなのでは? と心配に。それに、この映画はやっぱり「面白いのか? 」と疑いながら観てほしい気もします。
面白いのか? 面白いかも……。 これめっちゃ面白いじゃん! と、その過程すら楽しめる力を持つ映画だということは、私が保証します。
下品なネタは断る! な方にはあまり強くオススメできないですが、なんか面白い映画観たいな~というときには、ぜひヒャッハーを思い出してほしい……。
一度観てしまったら、ヒャッハーなしの人生なんて考えられません。私たちの人生に寄り添ってくれる存在、それがヒャッハーなのです。
※2020/12公開、2022/7/2再編集。画像と動画はお借りしています。
第6回 映画部活動記録(2020/11/13実施)
『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツ』(2010)
監督・脚本:イーライ・クレイグ(『リトルデビル』)
出演:タイラー・ラビン
アラン・テュディック
カトリーナ・ボウデン
予告
参加者
T.H、小林、F.M、加藤
T.H
グロテスク度:★★★☆☆
美女と野獣度:★★☆☆☆
総評:★★★☆☆
ふたりのおじさんが購入した念願の別荘(山小屋?)の山にやってきた大学生たちが、勘違いとドジから次々と非業な運命に巻き込まれていくという、スプラッターコメディ。
主演俳優の垢抜けない感から、死んでもどうでもいい感じが視聴者にうまく伝わっていて、血は飛び散るけどそんなに恐怖心もなく。だんだん慣れていくので、スプラッター嫌いでも気持ちよく観られると思います。
全体的に殺人は昼間に行われるので、陰鬱な圧迫感がなくて自分みたいなスプラッター嫌いでも観やすいですね。死に方のバリエーションも結構豊富で、刺さったり打たれたりミンチになったりとひととおりの調理方法が楽しめますよ。
なにより観賞後の後味がとても清々しい。あれ、人死んでたっけ? みたいな感じで終われるのがよかったです。指も無事見つかったし。
小林
もう一度観たい度:★★☆☆☆
バカ映画度:★★★★★
次も見たい監督度:★★★★★
総評:★★★★★
タッカーとデイル、もういかにも殺人鬼っぽい名前である(笑)
しかし彼らは気の良い中年仲良し二人組なのだ。
彼らが大学生グループに殺人鬼に間違えられて、スラップスティックな流れで凶悪殺人鬼に間違えられていく様はもう大爆笑。
私のようなスプラッター映画マニアだと、木材粉砕機が出てきただけで笑ってしまう。
どうせ「エクスターミネーター」みたいな感じに人間ミンチになるんだろうと思っていると案の定、木材粉砕機に大学生が突っ込んで人間ミンチになっていく。
人間ミンチを顔に浴びまくるデイルにもう拍手喝采である!!笑
山小屋のデザインや最後に大工道具で武装するのは「死霊のはらわた1・2」で、スプラッター映画マニアはもう涙なみだである。
ちなみに敵の大学生の名前が「チャド」なのは、ニューヨークの地下道でホームレスが怪物になって人を襲う、例の「チャド」なのだろうか……。
もう一度引用元の映画を見ながら、見直したい大爆笑の一本である。
加藤
血肉湧き踊る度:★★★★☆
おバカ映画度:★★★★★
もう一度観たい度:★★★☆☆
総評:★★★★☆
こんなに何も残らない映画ってある? というくらいには、何も残らないけれど、やっぱりこういう作品は定期的に観たくなるものです。
気が弱くて、心優しい中年であるタッカーとデイル。念願だった別荘(めちゃくちゃボロい)を手に入れ、初めての休暇を過ごそうとワクワクしているところで出会ったのが、イケイケな大学生の集団。
見た目が完全に危ない奴であるタッカーとデイルは、この集団からかなりの警戒をされることになります。それが悲劇の始まりに……。
そりゃあ、「Hi!」を言いに行くために大きな鎌を手にしているんだもの……誰だって、こいつやべー奴だな! って思うはずなんですけどね。結局、冒頭でタッカーがなぜ鎌を手にしているのか、2回ほど見ても分かっていないんですが……なんでなんでしょう。
見た目には騙されない!
年末にかけて、見た目に騙され続けてきたことが判明した私ですが(某俳優の暴力報道にやられました)、やはり「見た目の印象で人を判断しない」というのは難しいですよね……。
タッカーの超絶怪しい風貌を見て、どう考えてもスイートな人ね! にはなりません。ずうっと見ているからこそ、観客である私たちはかわいい! と思える瞬間に出会えますが、現実となるとそれは難しい……。逆もまたしかりで、さわやかな笑顔の裏に隠れる非道さに気づかないということもあるのです……。
若干話はそれましたが、キュートなヒロインのために頑張る小デブは、やっぱりかわいらしいし、すごいイイ男にも思えます! 偏見をぶっ壊すという意味でも、なかなかに良い映画かもしれません(←適当なことを言っています)。
と言いつつ、私がこの映画で大好きなのは大学生たちがヒロインを救おうとして続々と死んでいくシーン! みんなが良いタイミングで、絶妙な死因で消えていくので、グロ耐性がある方はげらげら笑えると思います。なんとなくモヤモヤするな~という日にピッタリの映画です。
※2020/12公開、2022/7/2再編集。画像・動画はお借りしています。
第5回 映画部活動記録(2020/10/16実施)
『マッドマックス 怒りのデスロード』(2017)
監督・脚本:ジョージ・ミラー(『マッドマックス』シリーズ、『ベイブ』シリーズ)
出演:トム・ハーディ
シャーリーズ・セロン
ニコラス・ホルト
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfurhttps://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/index.htmlyroad/index.html
参加者
T.H、小林、F.M、T.K、O.K、加藤
今回は社内でプロジェクターを用いての鑑賞会でした!
思った以上の大画面で、終始テンションが上がりっぱなしの2時間……。セッティングをしてくださった、T.Kさんありがとうございました!
T.H
人と騒ぎながら一緒に観たい度:★★★★★
アメ車好きにお勧めしたい度:★★★★☆
もう一度見たくなる度:★★★☆☆
総評:★★★★☆
クルマは意外と真面目に作ってました
暴走族が支配する世界で、チーマーにつかまったヤンキーが裏切り者のレディース軍団と一緒にボスをやっつけるようなお話。戦利品は水。
映画って、ストーリーをいかにわざとらしくなく自然に視聴者に伝えて、その世界観に引き込んで感動なり恐怖なりを与えるかがキモだと思うんです。
で、この作品は説明ゼリフが本当に少ない。人間関係とかも登場人物同士の会話の一言で「あ、こいつって部下じゃなくて息子だったんだ」とかがわかってくるレベル。まあ、登場人物って関係性が出来上がっているので、いちいち説明しないのも当たり前なんですけど(たまに初出時に名前や肩書きの字幕が出てたりする作品もありますね)。
パンキッシュな外見の人ばかりですが、意外と残酷なシーンは少なくて、まさにザ・ヤンキーだけど話してみたら栃木弁丸出しの田舎もんみたいなやさしい気持ちになれるやつも結構いる。「人は見た目が9割」と思っている人は、この映画を見るとその残りの1割の人の気持ちがわかるかもしれない。
なにが楽しいって、今回は会社で見たので、映画館みたいにヒソヒソ声で話さなくてもいいってところ。女子2名(加藤さん、H.Mさん)の笑い声で、この映画本来のバイオレンス性がだいぶ和らげられて、とても楽しめました。やばそうな映画はこのふたりと一緒に見ると誰でも楽しめると思います。
個人的には、随所に見られるクラシックなアメ車のモチーフがよかったですね。アメリカだと、トラクターを改造した数千馬力のドラッグレースとか、とてつもないタイヤサイズのモンスタートラックレースとかもあるので、車だけなら意外とリアリティはあります。愛すべきアホアメリカ人たちのお祭り、みたいな映画でした。
https://www.youtube.com/watch?v=vyhDJEN70Gc
https://www.youtube.com/watch?v=zU42Psu2HTk
小林
狂った老人が作るMAD MAXな映画!
MAD MAXがすごいのは余計な説明シーンを極力拝して、見せ場! 見せ場! 見せ場! の連続なところ。
日本映画にあるような喫茶店やクラスで人物の設定をくっちゃべるような、かったるいシーンは一切なし。全ては狂った追いかけっこの中で語られる。
主人公のマックスもおそらく子どもを見殺しにしたという過去があるってことを見せるだけで、冒頭から最後まで逃げまくり、走りまくり! 戦いまくり(掴まっているシーンは巻き込まれているだけだけど)! 敵に追いかけられて、戦って、勝って、敵の王国を開放する。
なんてシンプルな映画なんだろう。
観客が見たいのは「狂った死のレースだろ」と言わんばかりのサービス精神である。
これを70過ぎたジョージ・ミラーが監督しているのだから、さらにすごい!
もうイカれているとしか思えない……
7人の侍であれだけチャンバラを撮った黒澤明も晩年は「夢」みたいなイメージ映画ばっかりになってた。
ジョージミラーはマッドマックスの第一作をオーストラリアで「自主映画」で撮影していた時から変わらない。むしろ前よりもテンションが高い映画を撮影している! 初心忘るべからずとはこのことである。
他に初心を忘れていないのはジェームズキャメロンくらいだろうか。
だが一体いつアバター2・3・4は公開するんだろうか……。
ジョージ・ミラー (プロデューサー)
ジェームズ・キャメロン
夢 (映画)
こんな狂った映画を70過ぎたジジイが監督し、見せてくれると言う点も踏まえてとても前向きな気持ちになる!皆さん是非、第スクリーン、大きい画面で見てほしい快作です!!!
F.M
気分転換度:★★★★★
頭が空っぽになる度:★★★★★
もう一度観たい度:★★★★★
総評:★★★★★
とても好きな映画なので評価は贔屓目です。
破天荒な展開ではありますが、それを細部まで拘り大真面目で作っているだけあって鑑賞後の満足度は何回見ても満腹を感じられます。
よく「冗談のような面白映画」の代名詞として引き合いに出されることがありますが、言葉で語らず演出で語らす技法は突出して本当に高いと思います。冒頭から30~1時間は殆どセリフなく、鑑賞会中も「全然セリフがない……」と声が漏れる程の潔さ。それでも展開がしっかり頭に入ってくる画作りは、何度見ても学ぶところが多いなと感じています。
モノローグが長い割に視聴者側を置いてきぼりにしがちな某鬼を退治するアニメとは対局にいるように感じました。同じアクションでもいろいろあるものだ、と。本物を生み出せる人たちが集まって、本気で破天荒を作ったらこうなると見せつけられる思いです。
また破天荒ながらもストーリーも結構しっかりしていて、特攻野郎ニュークスの生き様や、故郷が消失していたことがわかったフェリオサの叫びは胸を打つものがあり、人の生き方とは、生きる場所とは、ということを考えさせられたりします。
バイクが宙を舞い、火を噴くギターが奏でられ、棒の先に括りつけられた人が爆弾で攻撃してくるトンデモ展開と、そんなしっかり泣かせてくる展開が両立して、それも両者ともそれなりの濃度で観客へ突きつけてくる様はさながらジェットコースターです。
先入観や趣味思想、日頃のストレス悩み事などすべて怒りのデスロードで吹き飛ばせと言わんばかりの力に身を委ね、鑑賞後ああ凄かった、よかったね、と幸福感を味わうのが、正しい怒りのデスロードの見方ではないかな、と思っています。
T.K
勢い:★★★★★
初見でのわかりやすさ:★★☆☆☆
解説聞きながらの視聴だったので初見でもざっくり内容わかりました。
しかし勢いすごいですね〜あんまり見ることなかったジャンルなので新鮮でした。
始終考えたら負けな感じのツッコミどころ満載で、火炎放射ギター男が出てきたあたりで「あっ、なるほどこれは考えるものではないんだな」と悟りました。
ウォーボーイのアクションというかボコられが中々派手でだいぶ痛そうですが、口にラッカースプレー吹き付けながらなかなかいい笑顔で死ぬさまは大変楽しそうでした。
加藤
セロン様にひれ伏したい度:★★★★★
ニュークスを保護したい度:★★★★★∞
もう一度観たい度:★★★☆☆
総評:★★★★☆
フェミニズムとか考えだすと答え出ないし、ぐるぐるするのでちょっと躊躇していたのですが……小林さんを見習って、少し真剣に考えてみようと思います!
モノとして消費される弱者
この映画は、私たちの社会の悪い部分をぎゅっと凝縮されて作られたような、そんな作品である。
舞台は核兵器による大量殺戮戦争勃発後、生活環境が汚染され、生存者たちで物資や資源を武力で奪い合う、文明が壊滅した社会だ。そんな社会だから健康な女は「子産み女」。権力者の子どもを産むための道具として扱われ、母乳まで生産させられる。
とここまで書いていくと、「消費されていた女が立ち上がるんだ! 」と思われるかもしれないが、そういうわけではない。消費されているのは女だけではないのである。「ウォーボーイ」という、核の影響で長くは生きられない男たちは特攻隊の如く、文字通り“身体ごと”ぶつかっていく戦術のなかで命を落としていく。
権力者だけが楽しく生きられる世界で、人々は自分の思考を放棄して、淡々とその日の暮らしを受け入れていく。持たない者は際限なく奪われ、持つ者だけが私腹を肥やしていく。
私たちが生活をしている社会の濃度を強めれば、まさにこの映画の世界が成立してしまうのだ。
求められる現代の男性像
そんな“消費物”である女性を救おうと、本作で奮闘するのがシャーリーズ・セロン演じる「フェリオサ」。
髪を刈りこみ、失くした左腕前腕部には義手を装着している。セロンの凛々しさがぴったりのキャラクターだ。ほとんどのアクションは、彼女が主体で進んでいく。ごつい車を乗り回して、ハプニングを乗り越えていくその姿に目を奪われるのは確か。宝塚の男役のような華やかさはないけれど、惚れ惚れとしてしまうしなやかさがある。
しかし、女性の本来の強さだけを描きたかったのか、というと少し違うように感じる。その理由は、もう一人の主人公である、トム・ハーディ演じる「マックス」にある。彼は、フェリオサと共に戦い、何の見返りも求めずに去っていく。自分の目的を果たしたら、彼はほぼサポートに徹しているのだ。これはマックスに限った話ではない。ニコラス・ホルトが演じるウォーボーイ・ニュークスにも同じことがいえる。
フェリオサたち女性が敵だとみなす存在、つまりこれまで弱者を消耗品のように扱ってきた男たちとは対極にいるのだ。
本作で描かれた「真の男性像」は、男らしい女性を守る存在ではない。女性たち自身が闘えるようにサポートをしてくれる存在なのだ。
暴れたいなら、暴れてこい! そう強くいってくれる男性が、本当に男らしい男性なのかもしれない。
ニュークスへの庇護欲しか優勝しない
と、まあいろいろと考えてみたけれど、結局はニュークスへの「庇護欲」が優勝する。彼のひょろひょろの背中を守りたいという欲の前では、どんな高尚な議論も無駄。とにかく、私は彼を可愛がらなくてはいけないという義務に取りつかれてしまった。
ニュークスはいつもかわいい。悪人に心酔していて鬱陶しくても、ドアでぶん殴られたあと一人でブラブラと走る後ろ姿も、俺はどうせ死んでしまうんだといってエンジンルームを必死に整備しているときも。
本当の幸せに少し触れることができたニュークスには、絶対に幸せになってほしかった。それに、ほとんどの不都合はニュークスが解決してくれた。確かに大した戦力にはならないけれど、運転ができて、エンジンの修理もできて……それなのに、自分には自信がないなんて!! たまらないでしょう!?
ニュークス輸血やめてるのになかなか死なないな? とか思うところもあったけれど、それでもニュークスにはフェリオサがトップに立つ国で、ささやかな幸せに触れて、朗らかに笑っていてほしかったのだ。
ニュークスが孫に見守られながら、天寿を全うする姿を観れなかったことが、唯一の心残りである。
※2020/11公開、2022/7/2再編集。動画や画像はお借りしています。