映画部活動報告

月1くらいで開催される映画部の活動報告場所

第15回 映画部記録(2022/2/18実施)

『ウィジャ・シャーク /霊界サメ大戦』(2020年・アメリカ)

公式サイトhttps://landshark.crayonsite.com/p/10/

監督:スコット・パトリック(ブレット・ケリー)
脚本:デヴィッド・A・ロイド(ジュラシック・シャーク)
   ジョン・ミリオーレ
キャスト:ジル・・・ステフ・グッドウィン
     キム・・・ロビン・ホッジ
     ジェン・・・ゾーイ・タウン
     ティファニー・・・エイミー・オズボーン
     ドナ・・・クリスティーナ・ローマン
     ジルのパパ・・・ジョン・ミリオーレ(ロスト・ジョーズ
     警官・・・ピーター・ウィテカー(ジュラシック・シャーク)

予告:

参加者
T.H、小林、K.Y、K.S、O.K、加藤

T.H

息ができないくらい笑いました。

一緒に見る人を選ぶ度:★★★★★
見事に期待を裏切ってくれる度:★★★★★
(いい意味で)おすすめ度:★★★★★

間違いなく人生で一番笑った映画です。息ができなくなるくらい、ここ数年で一番笑いました。娘が初めて立ったときよりも、小学校に入学した時よりも笑顔でした。

ただし、見ている間ではなく、見終わってみんなで話をしようと思った瞬間に、作品の魅力が溢れてきて、思わず笑顔になってしまった(あほらしすぎて笑うしかなかった)という感じです。

この映画をまともな映画として構えてみると、多分肩透かしをくらいます。

例えて言えば、「普段は悲壮感しかない奴が、文化祭で突然コントをやると言い出したんだけど、あまりに真面目にコントに取り組み過ぎて、しかも壇上でマジでこけたりして『なにがおかしい〜〜〜〜!』とかキレたその姿が一番ウケた」って感じの映画です。

ホラーとかスプラッターって、一歩間違えるとユーモアになっちゃうんですよね。そこがいい。

見どころ1:あられもない女子たちの姿

序盤はひたすらビキニの女子が露出してくれます。スーパーモデルみたいな俳優じゃなく、庶民的な人ばかりです(かなりオブラートに包んでいます)。

そんだけ女子が出てきたら、普通なら非日常感とか、ロマンスを予感させるものなんでしょうけど、残念ながら隣で車を洗ってるメンズ(腹は出ている)に魅かれて物語から外れたメガネ女子以外は、まったく男子との絡みがありません。ある意味では、本当にどこにでもいる普通のマリファナ漬けの女子たちの休日って感じ。

その彼女たちのひとり(元々の連れじゃない)がなぜかウイジャ盤を拾い、遊ぶことからいろいろなことが始まります。

だいたい、冒頭のところがストーリー的におかしいんですよね。誰かと待ち合わせしている様子で森に入っていって、湖らしきところでおもむろに脱ぎ出して泳ぎ始め、でも泳ぐという感じでもなく出てきてウイジャ盤に出会う。

なんか、コミュ障が休みをもてあましてフラフラ出歩いて、何をするでもなく帰ってきたって感じに近いです(ソースは俺)。

この辺からもう「この映画、なにかがおかしい……」と思わされ始めます。

見どころ2:多彩なアングルから魅せるサメ

サメ映画といえば、尾ビレを水面から出して向かってきたり、口を大きく開けて襲いかかってくる姿のイメージがあります。

しかし本作では画期的なアングルに挑戦しています。

サードパーソンサメイング

キャラクターが画面内にいるシューティングゲームを「サードパーソンシューティング」と言いますが、本作もそれに則った演出がされています。カメラの脇から強靭なアゴが見え隠れし、人間を追いかけ回す姿はまさに昨今のeスポーツブームを受けた演出。

このままゲーム化されてももうちょっとマシなグラフィックになるでしょうけど。

アンダー・ザ・サメ

海の中であれば、サメのお腹側を見ることなんてほぼできません。だってその時点で食われちゃうし。

ところが本作では、サメが主人公たちの上を泳ぐ姿が見られます。「こんな尖ったかたちしてるんだぁ」なんて思っても、なぜかサメは襲ってきません。

猫を透明な板に座らせて、禁断のお腹の下を覗く写真が一時期流行りましたが、まさかサメでそれが実現できるなんて。

https://karapaia.com/archives/52260266.html

この演出は、サメと人間との邂逅が、水面付近でしか行われないという社会通念を見事にひっくり返してくれました。サメは飛ぶからです。理屈なんてくそくらえだ。

サウンドエフェクト・オブ・サメ

もうひとつは、サメが発するあらゆるSEの秀逸さです。

そもそも水中のサメが声を発することはありませんし、泳ぐ音も噛む音もありません。

つまり、映画の中で出てくるSEはすべて、想像上のものでしかないのです。

しかしそれが見事にマッチしています。

人を噛み殺す時の「カプ」っという気持ちいい切断音。人を追いかけ回す時の車や飛行機のような移動音。そして、地獄の底から響いてくるまるでトラかライオンみたいな咆哮。

どれをとっても想像上の生物=サメというゆるぎのない定義がなされていて、視聴者はその想像力に身を委ねるしかありません。

これらの相乗効果により、所構わず人を襲い、食らおうとするサメの真骨頂ともいえます。

裏の裏をさらに裏に回った撮影技

作者は見事に視聴者を裏切ってくれます。

それが「演出」です。

素人が運動会を撮った時のような三脚による固定カメラと、固定でいいだろうにわざわざ手持ちで撮った微妙なブレ映像を混ぜたり、多分撮影したカメラの機種が違うんだろうなという逆光(光がボヤーっと広がってシラっちゃける現象)の耐性のなさがシーンごとにガラッと変わったり、ホワイトバランス(場面による白の色の温かさ、冷たさの違い)のズレ、白飛びなどの映像が、見事なくらいにごちゃごちゃに組み込まれてきます。

特に屋外でその傾向が強い理由は、多分安っぽいカメラをつかっているせい。主にレンズ性能が足りてないんだと思います。パープルフリンジも出てたし。

もちろん、これらのことはすべて「演出」です。素人っぽく見せることで恐怖心などを煽ったりしているわけです。決して低予算だから仕方なく、ということではなかったはず。

その証拠に、後半になるとこれでもかというくらいにCGを多用してきます。サメが登場するシーンは当然として、霊能力を用いた演出やサメの口からでる攻撃などにも使われているのですが、それがまるで8mmフィルム時代の二重露光(1枚のフィルムに2つのシーンを物理的に撮影することで、幽霊などが現れたような演出をする技法のこと)のようなクラシックな雰囲気を醸しています。

すでに「ゴーストバスターズ」でももっとしっかりしたCGを使っていましたが、監督の狙いはまさにそこにあったのでしょう。

どうしようもないほどのレトロ感を盛り込むことで、文明に疎いかよわき人間の姿を描こうとしたのだと思います。昼間っから飲んでるポリスも、マリファナ漬けの女子たちも、シャマランっぽいインド系の霊能者も、そんなところまであえて稚拙な映像表現によって伝えようとするなんて、監督は相当なキレ者なんでしょうね。

作品の根底にある「人間の潜在的な攻撃性としてのサメの存在」

人は突然攻撃性を表すことがあります。普段は物静かだけど、コントローラーを持つといきなり声を荒げる女子とか、ステアリングを握ると周りの車のグチばかり言い始めるご婦人、大勢の前であえて大声を上げて叱ることで「怒られているのはこの人ですが、あなたたちも一歩間違えれば同じなんですよ」と伝えようとする経営者とか。

http://blog.livedoor.jp/itsoku/archives/56245426.html

そう、これらはまるで、突然そこにサメの幽霊が現れて、なんの脈絡も説明もなしに誰かをカプカプ噛みまくるかのような、根源的で衝動的な攻撃性を示しているのだと思います。その時の気分だけ、理屈とかどうでもいい、周りに誰がいても気にしない、ただ襲いまくるのみ、という超攻撃的な性格を表しているのだと思います。

最後はとんでもない黒幕の存在がわかり、観客は「どっひゃー」と思わされます。最後は巨大な権力の陰謀だったのかーという、なんの伏線もないどっちらけの終わり方がむしろ清々しい。

難しいなぁと思ったのは、これを誰と一緒に見るのがいいかってこと。家族は無理だし、恋人と見ると喧嘩になるかもしれない。親友とみても「なんでこんなの勧めるの?」と激怒されかねません。

その意味では、会社の同僚とみるって言うのは、実は一番ベストな映画なのかなと思ったりもしました。

とりあえず、駄文を書き散らしたことでもうこの映画のことは忘れて日常生活に戻れそうです。執筆の機会をいただきありがとうございました。

小林

何が起こるか分からない度:★★★★★

すごい!もはや何が起こるか予想がつかない。

とりあえずウィジャ盤?と呼ばれるこっくりさんみたいなやつで女の子たちが、サメの亡霊?を蘇らせてしまったことはわかった。

サメの亡霊が人を食い殺すのもギリギリわかった(このギリギリ感は見ないと分からない。笑)。

死んだお父さんは娘のために亡霊ザメと戦うことも分かった。

だが一番分からないのは、そのカメラワークだ。意図がない。いや我々を挑戦するようなショットだ。

いや何も考えてないのか?
それともこれは????

やたらと長いロングショット、じわじわと何かが来るのかと思いきや何も起きない(笑)私のような映画マニアにとってはいろんなことを予想しすぎて、その度に裏切られる。

会話もそうだ。何か恋愛的なものが始まるかと思いきや何も起こらない。

カーウォッシュでエロいことが始まるのかと思いきや、ただシャワーを掛け合うだけで、もう~期待外れである(笑)

もはや我々の想像力と戦っているとしか思えない作品である!

こんなに前衛的な作品を作る余裕があるハリウッド? って、まだまだ懐が広くて羨ましくなる。

ぜひコロナに負けずにウィジャシャーク2を作って欲しい!

K.Y

オススメ度:★★★★★
チープ度:★★★★★

映画の価値観を変える作品、映画好きなら1度は観るべき

今や1ジャンルを形成しているサメ映画の1作。
映画好きなら、騙されて1度観て欲しい(無料の時に)。

  • 無駄に長いオープニング
  • 主役を含め、全員に漂うエキストラ感
  • 字幕でも棒読みなんだとわかる演技
  • 全力感がまるでなく、ランニングだろと思える逃走シーン
  • 細い木の影に隠れて、隠れている感がない隠れるシーン
  • 「今時、逆に難しいのでは?」と思うチープ過ぎるサメ
  • チープ過ぎて、出るだけで笑えるサメ
  • 見終わってから分かる、無駄・意味不明なシーンの多さ

こんなに低レベルの映画が存在したことに驚きです。

今まで、つまらない映画を何本か見てきて、
「監督何やってるんだ。」
「この演出ないわぁ〜。」
と思っていたのですが、この映画を見ると、まともな作品だったんだと思えました。
なんか、映画の縦幅が一気に拡がった気がします。

次に観る映画に寛大になれ、楽しむことができるでしょう!

K.S

サメ度:★☆☆☆☆
ホラー度:★☆☆☆☆
B級映画度:★★★★★
オススメ度:★★★★☆

サメ映画には絶対的な安全地帯がある。それは、海から離れた場所である。
サメは海にいるので、海から離れればサメに襲われることはない。当然である。

そんなサメ映画の常識を覆し、全世界を恐怖に陥れたのが本作「ウィジャシャーク」である。
本作ではサメの幽霊が登場し、山・湖・階段の踊り場・家の中でガブガブ人間を食べていく。

もはや海から離れても安全ではない。サメの幽霊はどこにでも現れる。
なんなら作中に海など登場しない。

どこにいてもサメに襲われるという恐怖から逃れられないのだ……。

という感じで、設定的にはとても怖いが映像のチープさ、チープな効果音、役者のやる気のなさ、などなどのおかげで全く怖くないです。

ホラー映画が苦手な方でも楽しめる映画です☆
約1時間無駄にしたい方には特にオススメできます!

作中でショットガンを撃つシーンがあるのですが、排莢がなかったことが気に食わないので、星一つさげて星4です。

O.K

おすすめ度:★★☆☆☆

人生もこれくらいでいいのかもしれないと勇気をもらえる作品

なぜこの映画がアマプラで配信できているのか、本当に不思議な気持ちになる作品でした。

妙に長いオープニング、中途半端に挟まれるお色気シーン、回収されることのない意味深なひとことや人間関係のもつれ……。何よりサメ映画の要であろうサメ襲撃シーンまでがめちゃくちゃ長い……。いくら低予算とはいえ、カメラワークも音響も、もうちょっとどうにかなっただろと思わずにはいられません!

“低予算風”をあえて作っているのではないか……?いや、“風”を装うなんて、実は高度なテクニックなのではないだろうか……なんて思えてきてしまうほど。

予算ないだけどあるもので工夫して頑張ったね!的な映画ではなく、お金ないからお金ないまま作りました!どうだ!って感じです。

クライマックスに向けてカオス度はさらに上昇!
私の頭の処理能力はすでに限界。

最後にはそれまでを超える衝撃のオチが待っており、思考は完全に停止。映画を見て考えることを放棄したのは初めてでした。

鑑賞後、映画部のみんなが笑って楽しそうだったのが印象に残っています。70分を無駄にした自分を慰めるために笑うしかないんですよね、わかります。

ウィジャシャーク。記念すべき私の初サメ映画となりました。

誰にでもおすすめできるわけではないですが、ウィジャシャークもあんな感じだったしな~と肩の力を抜いて生きていけるような、勇気をくれる作品です。

人生、きっとこんな感じでいいんですね。すべてに疲れた方は見てみては?

加藤

人生観を変えてくれる度:★★★★☆
誰かを巻き込みたい度:★★★★★
オススメ度:★★★★★

申し上げます。申し上げます。私は、酷い。酷い。はい。厭な奴です。クセになってしまうことを知ったうえで、5人の人間に『ウィジャ・シャーク』を布教してしまいました。ずたずたに切りさいなんで、殺されても仕方がありません。

観れば観るほど病みつきになる、なにがなんだか分からないホラーSF超大作! 「ウィジャ・シャーク/霊界サメ大戦」は、日本で一体どれほどの人間が観たのでしょうか。

ウィジャ・シャークの魅力といったら麻薬のようなもので、とにかく誰かに勧めたくなるのです。観た人から観ていない人へ……もはやねずみ講のように、大きく広げたくなる映画なのです。

常人には難解

常人には追い付かない発想が楽しめるのが、ウィジャ・シャークの良いところです。

「サメ=海の生き物」……そんな固定観念に侵されていませんか?

以前、湖にサメが出てくるパニック映画を観たことがあります。海に竜巻が起こったせいで、空からサメが降ってくる映画もあります。

この2つの例ですら、意味が分からないと思っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、これらの意味不明さを超えてくるのがウィジャ・シャーク。

ウィジャ・シャークに登場するのは、ウィジャ盤に呼び出された「サメの霊」です。大変凶暴で、制御するのが難しいとされています。

湖の浅瀬で、必要のない肌見せシーンのついでに拾われたウィジャ盤を使って、ヒロインである【GOAT GIRL】がサメの霊を呼び出したことが、この映画の悲劇の始まり。

湖にウィジャ盤なんか落ちてねーだろ、とか、出てくるウィジャ盤めちゃくちゃ100均クオリティじゃん、とか、そんなツッコミはウィジャ・シャークを前にしたら最弱。マップ1のボスにすらなりえません。

映画製作の大変さが実感できるのはウィジャ・シャークだけ!

映画の広告で、「〇〇円を投じた超大作」といった文言をよく見かけますよね。低予算映画にも良作がたくさんありますので、金を使えばいい映画ができるわけではないことは断言できますが、私が今まで低予算だと思っていた映画には“金が使われている”ということが、この映画を観て本当によく分かりました。

すべてのCGが安っぽいし、サメに食われたと言っているのに血糊が使われたシーンは2つだけ。最終的にはイラストで描かれた血しぶきが、画面端から飛び出してきます。最初の方に予算を使ったせいで、金が足りなくなったんだろうなぁということが想像に難くありません。

予算の話をはじめると止まりませんが、特に見どころなのは食事シーン。全員が皿を舐めたのかな? というレベルにピカピカの皿を見ることができます。

また、パパが使っているタロットカードもぜひ注目していただきたいです。どっかから素材を拾ってきてコピーしただけの代物なのか、裏が真っ白……! おいスタッフ、タロットカード見たことないのか。

でも、この狙って出しているわけではない(はずの)低予算感がかなりクセになるのです。

超大作を観た後には、どこに金がかかっていたのかという話をよくします。やれCGが神がかっていたとか、衣装のシルエットが美しかったとか、どこでロケしたらしいとか……。

しかし、ウィジャ・シャークは違います。

「どこに金が掛かってなかったのか」
「逆にどこに金が掛けられていたのか」

我先にと、みんながこぞって話したくなってしまう。

もしも話してみたい人がいるなら、ウィジャ・シャークを一緒に観ることを強くオススメします。この映画を観て、会話がつきることはないと断言できるからです。

ミスティックシールド、愛の力、オカルトの家系、ホワイトハウス、続編制作決定済み……。

ほら、なんだか気になってきましたよね? それなら、今すぐにウィジャ・シャークを再生したほうがいいです。

ウィジャ・シャークだけが持つ、Z級映画の波動を少しでも多くの人に感じてほしい!

「今回の映画、つまらなかったな」

そう思ったら、ぜひウィジャ・シャークを再生してください。この映画を下回ることはそうそうないはずです。

これからの人生を大きく支えてくれる、それがウィジャ・シャークという映画なのです。

 

※2022/2公開。2022/7/18再編集。画像はお借りしています。