映画部活動報告

月1くらいで開催される映画部の活動報告場所

第20回 映画部記録(2022/7/29実施)

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』(2022年・日本)

監督田崎竜太

脚本井上敏樹

キャスト:樋口幸平/別府由来/志田こはく/柊太朗/鈴木浩文/石川雷蔵
     富永勇也/宮崎あみさ/タカハシシンノスケ
     駒木根葵汰/姜暢雄岸田里佳島崎和歌子

 

予告:

参加者
T.H(別日)、小林、F.M、Y.N、加藤

T.H

アクション映画としての出来:★★★★★
家族の物語としての完成度:★★★★
脇を固めるキャストの豪華さ:★★★★★

日本の特撮かくありき! 単体アクション映画としても◎ 正直、ここまでいいとは思っていませんでした。予想を覆す素晴らしい映画でした。

特撮ってそれだけで子ども向け=子どもだましだと思われがちですが、全然そんなことはないですね。

変身時の演出、戦闘時のエフェクト、映画ならではの豪華なキャラクター。少数の主人公のはずなのに、敵味方含めてこんなにたくさん出てくるとは思わず。それだけでもワクワクしますよね。昭和ヒーローで止まってる自分には特に。

予備知識なしで見たのでキャストも全く知らなかったんですが、巷で話題の朝倉唯も出てたり。戸次さんも八嶋さんもいい味でしたし。あとはやっぱりケイン・コスギですよね。昔はヒーロー戦隊のレッドやってた彼が悪役でこんなに活躍するのがなんか不思議な感じもしました。

キャストが豪華!

主人公格は新人さんが多いですが、脇を固める役者が豪華!

ヒロイン役は国民的美少女コンテストグランプリの人だし(知りませんでした)、お母さん役が元宝塚トップ女優! なんかやたら演技上手いからおかしいなとは思ったんです(知りませんでした)。

お父さん役の戸次さんもいいお父さんで、しかも変身もして子どもたちと一緒に戦うのは胸熱でした。

ちゃんとしたアクション映画が日本にもあった

考えてみたら、ドラマ、映画含めてこれだけ真面目に肉弾戦のアクションやってる作品ってほとんどないですね。「クローズ」みたいなヤンキーものとかは、あれアクションって言わないし。

ジャッキー・チェンが中国べったりで事実上いなくなり、ジェット・リードニー・イェンくらいしかカンフーヒーローはいなくなりましたが、こんな身近にこんなにいい撮り方する作品があったとは。某5色の戦隊モノと違って、仮面ライダーは昔からアクションを真面目にやってましたけど、迫力は健在だったのがちょっとうれしい。

演出も、多くはCGで爆発とかビームとか入れてますが、全部CGとかじゃなくて実はパンチが当たる時にリアルな火花を出したり、ホコリ(みたいなのを出すバッグとか仕込んでる)が出ている肉弾戦のシーンも結構あるし。なんか背の高いのとかちっこいのとかで、役者の人数もリストラしてる番組もあるみたいですが、CGに頼りきらないところはさすが。

そして、一番の見どころはやっぱり、主人公とケインの肉弾戦一騎打ち! アクション俳優も使ってるんでしょうが、カメラワークも演技もすごく迫力感じました。

アクションって攻撃よりもやられ方なんですよね。敵の圧倒的な強さがちゃんと伝わる吹っ飛び方と、吹っ飛んだ時に生身に戻ってて役者が転がる演技もちゃんとしてる。多少のすり傷とかもあると思うんですが、役者にやらせてるところもありそう。こだわってる感じがわかります。

仮面ライダー」といういい意味でのエクスキューズの使い方がうまい

矛盾もたくさんあるんですが、脳内では「まあ、仮面ライダーだからね」と納得させられてしまうところは、良くも悪くも仮面ライダーならではだし、だからアイドルとかをアテンドできる。無理にマジでやりすぎるよりもこれくらいの方が、ファンも安心してみられていいですね。

ただし、戸次さんとか映美さんみたいなちゃんとした役者が傍にいるから、作品としては素人丸出しの若手ばっかりには感じない。そこもうまく見せてる部分ですね。

映画だけの新キャラもたくさん出てきていて、次作のキャラもちょこっと出てきたりもして、客を飽きさせずに次につなげるための工夫もされてるところがさすがは何年も続くシリーズ。数えてみると、5人で1人を倒す卑怯なシリーズよりも、ちゃんとした造形がされたキャラクターの数は敵味方含めて圧倒的に多いんですね。力の入れ方も予算もしっかりかかってる感じしました。

子どもの頃、ブルース・リーとかジャッキー・チェンのアクションシーンだけ何度もビデオで見たりしてた時代を思い返す、いいアクションでした。ストーリーも理解できないところは少なくて、テレビシリーズを見てない初見の自分でもちゃんと関係性とかいろいろわかったし、この1作品だけでちゃんと完結する映画になってます。

ドンブラザーズ? 牛丼、豚丼、鰻丼の兄弟の話?

そういえば、今回の映画って同時上映というか、おまけ映像もついてたんですよね。なんか桃太郎のパクリみたいな話でした。いや、よく知らないんですけど。

そうそう、ドンブラザーズだ。イモ演技な人たちがたくさん出てる映画でした。

変わり映えしない5色のヒーローが出てましたが、2匹はCGだったんでコスト削減が進んでるのかなと思ったりしました。劇中で映画撮影もしてましたが、あのイモ演技が演技なのか素なのかわからなかったですね。

一緒に見たせいか、仮面ライダーの映画としての完成度の高さが否応にも比較されて際立ちました。多分そういう狙いだったんじゃないかな。

内容はな~んにもなくて、テレビシリーズと同じように敵が1人いて、いろいろあってそいつを倒すってだけの話。映画ならではの秘密がわかったとか、テレビにつながる伏線があったとか、そういうのも一切なし。出てこないキャストもたくさんいました。巨大化してロボットで倒す演出も全カット。唯一よかったのは5人のキャラ紹介がまともにされてたことくらいでしょうか。

もはや、仮面ライダーに予算かかりすぎてどうしようもなかったのかなと勘繰りたくなるレベルの手抜き感、チープ感でした。

そう、これこそが、ドンブラザーズの魅力。

まともな人間が考えないような演出。ヒーローは仮面ライダーに任せとけとキャストに言わせる神経。ヒロインに後世トラウマになるであろうひどい演技をさせる演出。終わった瞬間に、「30分しかないならテレビでよくない? 」とすべての観客に思わせてしまう完成度。

これらすべてが、ドンブラにハマるための仕掛けだったことに気づいたのは、おそらく10人いない映画館の中で自分だけだったでしょう。

今のご時世、年間50話も使ってこんなことできる狂気の番組はほかにないです。キャラクターだって過去の戦隊モノをそのまま持ってくる以外に新しさはないし。

そこまでしてやりたいのがこの映画だったわけじゃないはず。もしかしたらテレビの終盤でこの映画の伏線を回収する可能性もあるかもしれません。てか伏線もなかったけど。

そういえば、劇中映画に出てきたゾンビの演出は、これまで見てきたゾンビ映画よりはまともに動いてた気はしますね。メイクもちゃんとしてたし、津波でわっさわっさ押し寄せてくるゾンビとかいなくてよかったです。

自分は、ここ数年でB級映画を見慣れてきたから心の準備ができてましたが、これをまともに子どもと一緒に見に行ったら、お父さんは「なんだこれ!」と激怒するかもしれません。評価を見ても賛否まっぷたつ。そんな映画なかなかないです。

ある意味では、大人にも「まあまあ、これくらい肩の力抜いて映画みようよ」と、自分がどこまで許容できるかのレベルを試されているのかもしれません。

そして、多分ここまでの展開をすべて、監督は見越した上で意識してやってると思われます。

一般人がみたら駄作以外の何者でもなく、単体映画としては今年見た中では最低の作品だと思います。でも、そこまで理解している人からしたら、今世紀最高の映画の1本かもしれない。

ちなみに、2本立ての1本目がドンブラでしたが、親子連れの子どもの大きな笑い声が聞こえて、ドンブラだけ見て帰っていました。

どちらも男の子向けなイメージが強いですし、わけがわからないドンブラは大人でないと理解できない、カッコよくて完成度の高い仮面ライダーは子どもでも楽しめるという感じが一見しますが、実際の子どもの評価は多分真逆。

大人が考えがちな「子ども向け」が「子ども騙し」でしかなく、大人が本気で楽しむために作ったものがむしろ子どもにもウケるという点で言えば、ドンブラザーズは多分、ジブリ映画と同レベルにターゲットをしっかり狙って考えた作品になってると思います。

 

小林

元ネタはなんだっけ?度★★★★

暴走ええやないか

ドンブラザーズのメンバーが映画の撮影に参加することに。そこで映画のシナリオを無視した暴走ドタバタ喜劇が始まるというストーリー。ドタバタ喜劇は面白かったけど、決定的に何かが足りない。

それは元ネタのあらすじがよく分からないと言うことに尽きると思う。

「新初恋ヒーロー」という所謂、高校生恋愛映画が元ネタなんだろうがよく分からない。シーンとしてはパロディをしているのは分かるがストーリーに比べると弱い。不治の病とか記憶を忘れる●●みたいなストーリーはどこへ行ったのか?

これが桃太郎や浦島太郎なら誰でも結末まで知っているから、何が狂って暴走しているのかが分かりやすい。今作は架空の物語をさらにパロディにしているので、後半になるとどこへ落ち着くのかが全く分からない。

同じ脚本家のシャンゼリオンという作品に「友情ええやないか」という回があった。こちらは走れメロスの映画化に対して、主人公と腐れ縁の友人が役者で参加するという話だった。

良い加減でお調子者で女好きな主人公をひたすら真面目すぎるバカが待ち続ける。主人公は案の定、女の子に声をかけられて友情そっちのけでデートに明け暮れて、約束を忘れてしまう。友人は一途に待ち続けた挙句、怪人に殺されかけるストーリーだった。こちらは走れメロスという非常にわかりやすい物語が下敷きになっているから、暴走っぷりや結末を読者が知っているからこそ笑いが増幅する。たしか冒頭にも走れメロスのあらすじ紹介があったはずだ。

ビートたけしの「赤信号みんなで渡れば怖くない」と一緒でパロディはみんなの常識の上に成立しているのだ。

今回は新初恋ヒーローのあらすじ紹介もなかったし、非常に雑な印象を受けた。

元ネタのあらすじが分からないから最終的なゴールが見えない。ゴールが見えないから主人公たちが映画作りを通して何が変わったかよく分からない。

そこがこの作品の物足りなさに繋がっているんじゃないだろうか。

 

Y.N

マジで何を見せられているのか分からない、何も残るところがない映画だった。

 

加藤

意味不明度:★★★★★
ジロウ足りない度:★★★★★
もう一期観たい度:★★★★★

ドンブラザーズに求めてたものは“コレ”なんよ

「おい、ニチアサが今めっちゃやべーの知ってる? 」

隣のデスクからの、この呼びかけが私とドンブラザーズの始まりである。なんとなく1話を観て、そのまま2話、3話……と重ねていけばいくほど、ドンブラの意味不明さにドハマりしていった。だって、あんなに意味の分からないヒーローいる? トッキュウぶりに日曜日が楽しみな生活を送ってる。

さて、本作。ドンブラザーズのカオスを集めて煮詰めたみたいな映画でした。本当に30分の内容か? ってくらいに賑やかで盛りだくさん。いや、いうて意味が分からないんですけど。

アクションシーンは見どころたっぷり!

今回のアクションシーンは、戦隊ファンにはおなじみの“あの”採石場で撮影されたらしい。映画監督のヒトツ鬼化ということで、戦闘シーンは最初から最後まで映画っぽさにこだわっていたのが個人的には楽しかった。

全員でそんなことするの? とも思ったし、まさかのヒトツ鬼がヒーローの指示だしをしだすし、まさにドンブラでしか許されない所業だらけだった。こんなに敵もヒーローも一丸となって戦えるのは、ドンブラだけなのでは? というレベルに、ひたすらおかしいシーンが続いていた。もちろん、私は大爆笑である。

カオスにカオスを重ねた結果

意味が分からないものになってた。最初から最後まで笑いっぱなし。

私は何の学びにもならないコメディ映画が好きなのだが、本作はまさにそんな感じだった。これまでの歴代、学びのないコメディは「ヒャッハー!」シリーズだったが、それを上回る何も残らなさ。

若手のイケメン俳優とかこれから羽ばたいていく女優たちの登竜門的なヒーローシリーズなのに、こんなに変顔をさせていいのか? ってくらいにずっと変な顔してる。私の大好きなジロウも最後変な顔をしていた。そういえば、ジロウの出番少なくてちょっと寂しかったな……。

しかし、映画を観る直前にテレ朝の夏フェス(?)的なものに参加したおかげで、イヌブラザーへの愛は爆発していた。指名手配犯だというのに、ずっと可愛かったし、白タイツも似合っていた。馬の被り物も似合っていた。

結果、みんな可愛かったというのを総括にさせてもらう。

 

※画像はお借りしています。